COLUMN 現代社会 2018.03.30

「禅の心を教育に活かすには…」

 駒澤大学では、宗門関係学校教職員研修会にて、永平寺で研修する機会があります。講義や坐禅など禅寺の規律での一泊二日の研修ですが、なんとこれが人気で希望者全員が参加できるわけではありません。

 今年は8月1日、2日に開催され、東北福祉大学、鶴見大学、世田谷学園高校、駒澤大学高校、豊川高校、愛知学院大学などの関係学校の教職員の皆さんとご一緒させて頂きました。

 1日目は、駒澤女子大学の安藤嘉則教授の「禅のこころと宗門関係学校の教育」では曹洞宗における教育機関のあり方を学び、一般社団法人リヴオン代表理事の尾角光美さんの「子どもたちに伝えたい『いのちの授業』」では親を亡くされた子どもたちの傷ついた気持ちにどのように寄り添っていくべきかを学びました。

 薬石(夕食)では「五観の偈」という唱え文を皆で読み上げます。「五観の偈」によって、1日の反省と食事の準備に関わった全ての皆さんへの感謝の気持ちを述べた後は、黙って一口一口をしっかりと味わいながら頂きました。最後はお茶碗にお茶を入れ、一切れのたくあんを使ってきれいにすすぎ、これを最後に飲み干して終わりとなります。

 醍醐味は二日間に渡る班ごとの話し合いと発表です。参加者それぞれに信仰や宗派は様々でしょうが、宗門関係の教育機関として禅の思想や考え方をどのように教育現場に活かしているかが話し合われました。
 大学の教育では知識の伝達が中心におかれ、また学生数も多いため、各学生の相談ごとに深く関わる機会は多くありません。他方、クラスを持つ高校の先生方の、生徒と同じ目線で悩みを共有し、解決策を考え、禅の考え方を応用しながらアドバイスをしているという事例には大変感銘を受けました。
 それからは学内に置いてある宗門の機関誌にも目がいくようになり、禅僧の方が人々の悩みにわかりやすく提案しているエッセイや禅語なども参考にさせてもらっています。

 翌朝は3時10分に起床し、暁天坐禅を行いました。その後は七堂伽藍の大本山を見学させて頂き、780年以上も守られてきた寺院の、禅寺らしく質素でありながらもその風格や重厚感に圧倒されました。またそれらは、僧侶や雲水(修行僧)厳しい戒律によるものだと考えると、企業研究する立場からはマネジメントの一つのあり方を教えられたようにも思いました。

 いつもとは違う異次元の時空間のなかで、普段はお会いすることのない教育機関の皆さんとご縁を頂き、新たな視点の教育について議論できたことは何よりの収穫でした。
こうした機会を与えていただいた永平寺ならびに曹洞宗宗務庁の関係者の皆さんには心から御礼申し上げます。

経営学部 青木茂樹

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