禅の歴史 ― 曹洞禅の源流を尋ねて(25)
鏡島元隆博士「禅学概論講義ノ-ト」より
第3節 曹洞宗
日本曹洞宗(そうとうしゅう)は、道元禅師(1200-1253)が初めて曹洞宗を伝えて以来、三派が伝えられた。曹洞宗の三派とは、道元派、東明派*1(とうみょうは)、東陵派*2(とうりょうは)であるが、後の二派は法系が絶えて道元派のみが曹洞宗を嗣いでいる。したがって、今日においては日本曹洞宗といえば道元派のみを意味するのである。
日本臨済宗は宗祖を中国の臨済に仰いでいるが、日本曹洞宗は道元禅師と瑩山*3(けいざん)禅師を宗祖(二人の祖を仰ぐので「両祖」という)に仰ぐのである。このことは同じ禅宗といっても、臨済宗と曹洞宗では異なるものがあることを示すものである。それは一言でいえば、日本臨済宗は中国臨済宗の移植であるが、日本曹洞宗は中国禅の日本的展開である。
現在の日本曹洞宗は道元禅師を高祖(こうそ)と仰ぎ、道元禅師の四世の法孫である瑩山禅師を太祖(たいそ)と仰ぎ、両祖を立てている。それは日本曹洞宗の宗旨は道元禅師によって開かれたが、日本曹洞宗の宗門は瑩山禅師によって開かれたということができることによる。
このように日本曹洞宗は両祖を立てるが、その宗旨は道元禅師によって開かれたということができ、瑩山禅師もその宗旨を継承している。
*1…日本禅宗二十四流の一つで、東明慧日(とうみょうえにち、1272-1340)を派祖とする。延慶2年(1309)に北條貞時の招聘をうけて渡来した東明が、宏智正覚の系統の禅を伝えた。
*2…日本禅宗二十四流の一つで、東陵永璵(とうりょうえいよ、1285-1365)を派祖とする。夢窓疎石(1275-1351)に招かれて1351年に来朝し天龍寺・南禅寺等に住して京都で活躍した。
*3…瑩山紹瑾(けいざんじょうきん、1264-1325)、道元禅師四世の法孫。道元禅師が教義の祖とされるのに対して、教団の祖とされる。
(つづく)
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