STUDY 現代社会 2018.03.30

平成29年度 禅と現代社会研究チーム 研究計画概要

 現代社会研究


 現代社会、とくにビジネス界において、禅や瞑想、マインドフルネスといった考え方が広まりつつあります。1900年頃に仏教学者の鈴木大拙氏がアメリカで禅や仏教文化を紹介し、駒澤大学出身の曹洞宗の鈴木俊隆氏が1962年にサンフランシスコ禅センターを設立したことにより、当時のアメリカ西海岸に広まりました。アップル創業者の故スティーブ・ジョブス氏が曹洞宗の故乙川弘文老師(駒澤大学卒)に師事していた話も有名です。

 そして今、多くの企業1970年代にマサチューセッツ大のメディカルセンターにて、ジョン・カバットジン氏が、禅や瞑想などの宗教色の強い言葉では広がりが難しいことから、マインドフルネスという言葉で精神療法のプログラムを開発しました。

 日本の多くのビジネスパーソンがマインドフルネスや禅の広がりを知ったのは、グーグルやセールスフォースなどのアメリカ西海岸の優良なIT企業の社員研修などにマインドフルネスが活用されていることだと思います。さらにはスポーツ界でも、例えばサッカー日本代表の長谷部誠選手の著書『心を整える。』(幻冬社)を読むと禅の影響を強く受けていることがわかります。

 中世社会において、多くの戦国大名が禅僧を重用し、寺に寄進していたのは広く知られていますが、今日の最前線を戦うビジネスパーソンやスポーツ選手と共通の構造があるのかも知れません。

 また、現在、和食の美味しさやヘルシーさが注目を集めて世界的なブームとなっていますが、和食とは何かと問えば、道元禅師が精進料理をつくる側の心構えや作法を著した『典座教訓』や、食事を頂く側の考え方や作法を著した『赴粥飯法』が大きな基礎となっています。

 このように現代社会に強い影響を与えている禅思想について、多彩な専門分野の研究者がそれぞれの観点から研究を深め、学際的に議論しながら研究を進めていきます。

研究方法


A)視察プロジェクト
 禅(ZEN)を中心に事業展開をしている国内外の機関(大学、研究所、博物館、心理カウンセリングやコンサルティング、医学、アート、飲食、寺院など)を視察し、セミナー参加や体験、講演などを通じて、古今東西の禅(ZEN)を体感し、議論する機会をつくることで新しい知見を得ます。

B)学際研究プロジェクト
 研究内容については、チームでの学際研究報告会にて一人年一回程度の報告を行い、多様な専門家の意見を聞くことで学際的な研究を進めます。

ステークホルダーへの発信方法(初めて/より深く認知してもらう手段)


 駒大生、受験生を意識して、禅ブランディングのウェブサイトに、視察プロジェクトや学際研究プロジェクトの成果を報告します。また、フォーラムプロジェクトや出版プロジェクトにて、一般の方、研究者もターゲットに含めた企画を行います。

【リーダー】
青木茂樹(経営学部・教授)

【メンバー】
・仏教学部:飯塚大展
・文学部:久保田昌希
・経済学部:長山宗広
・経営学部:青木茂樹、小野瀬拡、兼村栄哲、菅野佐織、中野香織、中村公一、若山大樹
・グローバル・メディア・スタディーズ学部:各務洋子、山口浩
・法曹養成研究科:日笠完治
・学外協力者/廣瀬良弘

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